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3.人の心を理解する者であること

企業である以上、営業は大切である。 営業のできないものは社長の条件を満たさない。

営業の極意は、小手先の駆け引きにあるのではない。 顧客の話を理解する能力にあるのである。 しかし、「顧客の話を理解する」だけでは営業に成功しない。 顧客は、専門用語を正しく操ることはできないので、 事柄を正確に表現していることはほとんど皆無である。 したがって、「顧客の話を理解」しただけでは、 顧客の望むことは何も分かっていないのである。

営業の現場で、「お客さんがこう言ったから、そのようにしました」 と説明して顧客が怒り狂う場面は多い。 顧客の思慮の不足、途中での心変わりも大いにありうるが、 顧客が希求することを聞き手が理解していないため発生するトラブルは多い。 顧客の話を理解するだけでは不足である。 顧客の心を理解しなければならないのである。

顧客の心を理解していれば、 顧客がいつ、何をきっかけで心変わりするかも事前に予想できるものである。 顧客の思慮の不足を顧客の望むことに沿ってそれとなく補って 理解を助けることもできるようになる。 結果として、顧客の希望しないものを作ってしまうという トラブルをかなり減らすことができる。

「人の心を理解する能力」は、仕事に関わるすべての場面であまねく必要である。 社内の同僚や部下の話(言葉尻)だけを捕らえて行動を起こせば 期待はいつもうらぎられるだろう。 社内の同僚や部下の言っている言葉の影にある 本当の心を捕まえられなければ社長の条件を満たさない。

社長に必要な能力として「人心の掌握」をあげる人は多い。 人心の掌握とは、「人の心を理解する能力」によって始めて実現できるのである。 「クビ」や「賃金切り下げ」などの権力を振りかざす脅しや、 言葉の暴力や、社内いじめによって 他の役員や社員を服従させようとする経営者も世の中には多いが、 これらの経営者は、いずれ惨めなクーデターに遭遇するだろう。

人の心を理解する人は、職場に向かない人に向かって 「あなたは別の職場を探したほうがよい」と語っても 本人から反発を受けることは少ない。 逆に人の心を理解するところが少ない人が、同じように語りかけたら、 本人からは大反撃を受けることになるだろう。

社長になる人は、顧客だけではなく、同僚や部下の心も理解することが必須である。 もちろん社外の協力会社や協力者の人の心についても同じである。 該当者が多ければ、人の心を理解するところがより多い者が 後継者に選ばれる公算が高くなる。


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