(5)学習速度の克服 応援する  (5)学習速度の克服
組織が存続するために必要な学習速度と
組織が身に着けている学習速度が合っていない場合、
はっきり言えば、すなわち、
学習速度が遅すぎて組織のイノベーション(改革)が環境の変化に
間に合いそうにないときには、いったいどうすべきなのだろうか。
失敗する組織内分離策
しかし、一般に行われるのは、社長室や経営企画室などの名称の部署を作って、
各部署から選りすぐれの若者を集めて改革案を練るのである。
従来の部署においておけば、
新しいアイディアは従来からの人々の習慣(旧守主義)の中で
大きな抵抗と反対に遭って、日の目を見ることはないのである。
各部署から選りすぐれの若者を引き離して集めるのはまことに正しいというべきである。
しかし、どんな正しい改革案が出てきても、
その案に各部署が従うかどうかは別である。
改革案は決定公表の前に若者たちの出身部署にはたいがい知れ渡っており、
反対のための理由もその対策も済んでいるのである。
社長が発表する頃には、
「総論賛成・各論反対」の鮮やかな熱弁が待ち受けているのである。
かくして、社長室や経営企画室などの改革案はつぶれるのである。
組織外に組織を作ること
東京の企業が、九州に研究所と工場を突然作ったりする。
これは、ずいぶんと非効率なことをしているように見えて、
実は、会社の舵を切るには大変効果的なのである。
東京の抵抗勢力につぶされそうな新製品を九州で研究して製造すれば、
東京の抵抗勢力もなかなか手が出ないのである。
ましてや、資本も別にしておけば完璧である。
別組織は、小さくてよい。小さいほうがよいかも知れない。
新規事業はリスクか大きいので、小さく初めて様子を見ることは正しい方針である。
また、大きく作ろうとすれば、従来の抵抗勢力も多数つれてゆかなければならない。
抵抗勢力を新規組織に混ぜてはいけないのである。
新規組織が成功したら、新規組織が従来の組織を買収してしまう方法もある。
組織外勢力の利用
外国の企業の資本を受け入れて、組織改革を進めたニッサンやマツダの例は、
組織外勢力を利用して成功した事例である。
黒船に弱いのは、江戸の人々だけではない。
現代の日本人でも同じである。
傘下に入れば、特定の組織はメタ組織に従う原理から、
親会社の意向が浸透するのである。
外国資本でなくとも、日本では銀行資本が注入されて、
組織改革が進むケースは多かった。
しかし、この間、日本の銀行は体力がなく、注入する資本が足りないので、
むしろ資本の引き上げという脅しで企業の組織改革を促してきた。
この北風政策は成功しにくかった。
反発は硬直を生み、企業の倒産をより多く引き起こした。
海外資本の活用のほか、同業他社との合併や身売りもイノベーションにとって、
ドラスティックな効果を生むのである。
善良なよりよいメタ組織に参加することに組織改革がすすむのである。
こうしてみると、組織外組織や黒船的外部勢力が有力な手段と言うことになるのである。
黒船的外部勢力は荒療治である。
場合によっては、角を矯めて牛を殺すことにもなりかねない。
出来れば、組織外組織を作って、旧勢力との連絡を厳しく断って、
新規事業に取り組ませるのがよいとのであろう。
組織外組織は、組織におけるトリムタブである。
| |
|