メタ組織とバリューネットワークも
イノベーションの渦に巻き込むことが出来れば最良である。
しかし、これは大変なエネルギーが必要である。
自分の組織の舵を切ることも困難なときに、
その上の組織や取引ネットに属する諸組織を引き連れて変革の渦を作り出すのは、
たいていの場合に失敗する。
メタ組織の頂点に立つ組織(たとえば輸送業のJR、通信事業のNTTなど)が
自らの変革の過程で、
メタ組織(業界団体)の改革を実施する可能性はないとはいえない。
2番手以下の組織がその改革に成功するとは思えない。
バリューネットワークも、同様の事情がある。
パソコンのバリューネットワークで、
WINTEL連合(WindowsのマイクロソフトとCPUのIntelの連合)が手を結んで改革を行えば、
ネットワークに参加している世界中の企業がこれに従う可能性もないとはいえない。
しかし、それはきわめて例外的なことである。
日本の一メーカーがやろうとすれば必ずと言っていいほど失敗するに違いない。
残された手段は、現在のメタ組織とバリューネットワークから出てゆくことである。
別のメタ組織やバリューネットワークに参加するか、
新しいメタ組織やバリューネットワークを作るしかない。
しかし、これは冒険である。
新しいメタ組織やバリューネットワークが自分の組織を受け入れるだろうか。
また、新しく作ったメタ組織やバリューネットワークが国や社会から受け入れられるか
。これも新しい難題である。
しかし、イノベーションのためには、
古いメタ組織とバリューネットワークを
捨てなければならないことだけははっきりしている。
いきなり、新しいメタ組織やバリューネットワークに本体をうつせば、
その瞬間に組織の命脈が立たれてしまうこともありうる。
それは大変危険な賭けである。
したがって、組織のイノベーションに当たっては、
本体全部が現在のメタ組織とバリューネットワークから出てゆくのではなく、
新しい別組織を作って、出てゆくのである。
いずれにしても本体には抵抗勢力が多数を占めて、
意気揚々と組織の死を待っている。
彼らを引き連れて言っても新しい組織が新しくなるはずはない。
彼らを一人も連れてゆかない。
つまり本体は古いメタ組織とバリューネットワークの中に残して、
新しいメンバーだけの新しい組織を
新しいメタ組織とバリューネットワークの中に作り上げてゆくのである。
このようなことをする際には、
むしろ小さなベンチャー企業を買い取ってしまうという手法がとられることが多い。
ベンチャーは荒削りではあっても、
本体の組織とは異なるメタ組織やバリューネットワークに
曲りなりに属していることが多い。
新しくメタ組織やバリューネットワークを創生することに比べれば
運営がはるかに容易である。
ベンチャー企業の買収もまたトリムタブとなりうるのである。