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(16)貧すれども貪せず、われらアネハにあらズ

http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/12/16_cee7.html

2005/12/06

今(2005.12.06時点)で、耐震構造計算の捏造(偽造)が大問題になっている。 この偽造を直接行ったのは、姉歯一級建築士であると言われている。 彼が設計して建てられた建物は200棟を超えている。 大半は、マンションである。 この事件は、姉歯一級建築士の単独犯であるというには、規模が大きすぎる。 これら欠陥建築には、経営コンサルタントのS社が総括的にかかわっており、 H社というマンション販売強者、K建設という建設会社が積極関与している。

どうやら漏れ伝わるところでは、S社が顧客の前に立ち、 セミナ商法のテクニックで顧客にまがい物のマンション等を販売していた 一連のまやかし商法であるらしい。 S社はH社からコンサル料金などの名目で多額の資金を得ていた。 H社はまがい物であることを承知でマンションなどを安く販売していた。 K建設もまがい物であることを承知でマンションやビルをたてていたということらしい。 姉歯氏は、まがい物の物件を正当に見せかけるための ウソの耐震構造計算書を営々として作成していたという構図らしい。

今は捜査の最中で、どこまで真実に迫れるかまだわからない。 S社、H社、K社の「故意」を立証できるかどうかも不明である。 無罪放免となる可能性もなきにしもあらずである。 したがって、ここでも実名を挙げることをあえて避けている。 姉歯氏自体は、ウソを承知で、お金のためにやむにやまれずにやったと 告白しているので、有罪は間違いがないだろう。


建築業界の元請・下請け関係の中で、 建築設計事務所というのは実に弱い立場に立たされているということも、 この事件は鮮明に示している。 S社、H社は利ざや稼ぎの上澄み商売である。

建築設計事務所は、彼らのいうことを聞かなければ 仕事にも日銭にもありつけなかったのである。 しかし、この場合、心弱きは罪であった。 姉歯氏は、敢然と要求を拒否すべきであったのである。

システム業界も、事情はよく似ている。 建築業界によく似た「元請・下請」の構造が出来上がっている。 利益を得るのは、主として元請や仲介業者たちである。

当社のように技術力を売り物にしている零細なシステムハウスは、 建築業界における設計事務所に立場はよく似ている。 普段から大きなお金には恵まれず、 ヒルズ族とは雲泥の差がある清貧を余儀なくされる業種である。 貧乏を画で書いたような会社経営である。 このような貧乏を付け入る隙とみなす、 不逞のやからもいないわけではない。


おかげさまで、私の会社(http://www.sciencehouse.jp/index.html)が Web-DBシステム構築の名手であるということはよく知られている。 評判は広がり、そこそこにはお仕事のお話もいただく。 ここにきて、「DBを使用しなければ、システムは安くできるだろう。 普通のファイルで作って、予算を3分の一程度にできないか。 メンテナンスや機能拡張は犠牲にしてよいから」という類の値下げ圧力がかかる。

われわれがそれに応ずれば仕事を出すというのである。 安普請の強要である。 「メンテナンスや機能拡張は犠牲にしてよいから」という仲介業者の甘言は、 うかつには乗れない。 要は地震に耐えられない構造計算で建物を作れといっているのと同じである。

最終ユーザにバレなければいいというようなやり方をしてもいずれはバレる時が来る。 そのとき、その責任は誰が負うのか。 「技術に精通したシステムハウスに一番の責任がある」といわれるのは当然のことである。 仲介御者は逃げの一手で雲を霞にと姿をくらますに違いない。 われわれに逃げるすべはない。

手抜きの安普請を突貫工事でやっつけてくれという言葉には、 どんなに魅力を感じても、ノーと言おう。 貧しても鈍するな。 目先のお金がどんなに魅力に見えても、ノーはノーである。 われわれはアネハになってはならない。 少なくとも、私は、25年間、そうやって歯を食いしばってきた。

今度、「手抜きの安普請を突貫工事でやっつけてくれ」という仲介業者がいたら、 「われわれはお受けできません。 アネハに行ってください」とでもいうことにしたい。

諸君もまた誘惑に負けずに、技術中心企業としての誇りを貫いてほしい。


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